サプライチェーンの脱炭素化
サプライチェーンとは、原材料調達から製品製造、流通、販売、消費、廃棄に至るまでの、一連の流れのことです。サプライチェーン全体でCO2排出量を削減することは、地球温暖化対策として非常に重要です。近年、Scope3排出量と呼ばれる、サプライチェーンにおける排出量に注目が集まっています。Scope3排出量には、原材料の調達、輸送、販売、使用、廃棄など、様々な段階での排出量が含まれます。企業は、自社の排出量だけでなく、サプライチェーン全体での排出量を把握し、削減に取り組む必要があります。
協働による脱炭素化
サプライチェーン全体で脱炭素化を進めるためには、企業間の連携が不可欠です。サプライヤーと協力し、排出量削減に向けた目標設定や情報共有、共同での取り組みなどを推進していくことが重要です。業界全体で協力し、共通の課題解決に取り組むことも効果的です。例えば、輸送効率の向上や、再生可能エネルギーの共同利用など、業界全体で取り組むことで、より大きな効果が期待できます。情報共有プラットフォームの活用や、サプライヤーへの支援なども有効な手段です。
企業の取り組み事例
ある自動車メーカーは、サプライヤーに対し、CO2排出量削減目標の設定を要請し、その達成状況を共有することで、サプライチェーン全体での排出量削減に取り組んでいます。また、サプライヤーにCO2排出量削減のための技術支援や資金援助を行うことで、協働体制を強化しています。ある食品メーカーは、輸送におけるCO2排出量を削減するため、サプライヤーと共同で、モーダルシフト(トラック輸送から鉄道輸送への転換)を推進しています。他にも、包装材の軽量化や、リサイクル素材の利用など、様々な取り組みが行われています。
情報開示の重要性
サプライチェーン全体で脱炭素化を進めるためには、情報開示が重要です。企業は、自社のCO2排出量だけでなく、サプライチェーン全体での排出量に関する情報を積極的に開示していく必要があります。これにより、サプライヤーや消費者など、様々なステークホルダーとの連携を強化し、脱炭素化に向けた取り組みを加速させることができます。
消費者への啓発
消費者の行動変容を促すことも、サプライチェーン全体の脱炭素化には重要です。企業は、消費者に対し、環境に配慮した製品やサービスを選択することの重要性を啓発していく必要があります。例えば、製品の環境負荷に関する情報を分かりやすく表示したり、環境に配慮した製品を積極的にPRしたりするなど、消費者の意識改革を促すための取り組みが求められます。
ブロックチェーン技術の活用
ブロックチェーン技術は、サプライチェーンにおける情報共有の効率化に役立ちます。サプライヤー間の情報共有を促進することで、排出量削減に向けた協働体制を強化することができます。